ゼロ葬と直葬の違いに悩んでいませんか?
最近よく耳にするようになった「ゼロ葬」と「直葬」。
どちらも従来の葬儀と比べてシンプルな形式ですが、実はこの二つには明確な違いがあります。
大切な人を見送るための選択肢として、どちらが自分の希望や状況に合っているのか迷われている方も多いのではないでしょうか。
この記事では、ゼロ葬と直葬それぞれの特徴や費用相場、メリット・デメリットについて詳しくご説明します。
最後まで読めば、あなたに最適な葬儀の形が見えてくるはずです。
ゼロ葬と直葬の基本的な違い
まず最初に、ゼロ葬と直葬の基本的な違いについて整理しておきましょう。
名前が似ているので混同されがちですが、実は内容にはかなりの違いがあるんです。
一番の違いは遺骨の引取りの有無です。
葬儀を行わない点は共通ですが、ゼロ葬は遺骨を引き取らないのに対し、直葬は遺骨を引き取ります。
また、ゼロ葬は遺骨を引き取らないのでお墓を作りませんが、直葬の場合は作るか作らないかを選択出来ます。
直葬の場合はお墓に納骨したり、永代供養にする事も可能で、自宅で保管したり散骨したりする事も出来、幅広く対応可能です。
ですので、ゼロ葬の方がよりお金がかからずシンプルな形式となります。
ゼロ葬の特徴と流れ
ゼロ葬は、必要最低限の手続きと火葬のみを行う形式です。
具体的な流れとしては以下のようになります。
まず、お亡くなりになった後、病院や施設から自宅や葬儀社に遺体を搬送します。
この時点で葬儀社に依頼することもありますが、自分たちで手配することも可能です。
次に、火葬場の予約を行います。これは自治体によって手続き方法が異なるので、事前に確認しておくといいでしょう。
火葬許可証の取得も必要になりますが、これは区役所や市役所で手続きできます。
そして火葬当日、最小限の参列者で火葬を行います。
遺骨は持ち帰らないので、遺骨の処理は火葬場に任せる事になります。
ただし、こちらの記事でも書いているように関東以北では火葬場が遺骨の引取りを求める事が多いので、ゼロ葬自体が出来ないケースもまだまだあります。
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その場合は直葬を検討するようにしましょう。
ゼロ葬のメリット
ゼロ葬の最大のメリットは、なんといっても費用の安さです。
究極に簡略化しているため、10万円前後から可能な場合もあります。これは従来の葬儀と比べると驚くほど安いですよね。
また、形式にとらわれず、故人や家族の意向に沿った見送り方ができるという点も大きなメリットです。
「葬儀らしい葬儀はしたくない」という故人の遺志を尊重したい場合などに適しています。
ゼロ葬のデメリット
一方で、ゼロ葬にはいくつかのデメリットもあります。
1. 弔問客への対応の難しさ
故人と親交のあった方々が弔問に訪れる機会がなくなるため、別途の対応が必要になることも。
2. 地域や親族との関係性への配慮
特に地方や伝統を重んじる家庭では、周囲の理解を得られないことがあります。
3. 故人を偲ぶ場の限定
多くの人が集まって故人を偲ぶ機会が減るため、社会的な「お別れの場」としての機能が薄れます。
4. 後悔のリスク
遺骨を持ち帰れず、お墓も作れないため「もっとちゃんとした葬儀をするべきだった」と後から後悔する可能性もあります。
5. 地域によってはゼロ葬が不可
上記のように、関東以北ではゼロ葬自体が出来ない地域もあります。
事前にしっかり確認が必要です。
ゼロ葬はまだまだ一般的ではないので、親族や地域の理解を得られない可能性があります。事前にしっかり周囲の理解を得る必要があります。
直葬の特徴と流れ
直葬は、通夜や告別式などの儀式を省略し、火葬を中心に行う葬儀形式です。
具体的な流れとしては、まずお亡くなりになった後、葬儀社に連絡します。
葬儀社が病院や施設から遺体を搬送し、必要に応じて遺体の処置(納棺など)を行います。
火葬当日は、近親者のみで火葬場に向かい、火葬・収骨を行います。
直葬の場合、葬儀社によっては簡単なお別れの時間を設けることもできます。
これは「お別れ会」や「一日葬」と呼ばれることもあり、通夜や告別式ほど形式ばらないながらも、故人とのお別れの時間を持つことができます。
友人のお父さんが亡くなった時、直葬を選んだんですが、葬儀社の方が本当に丁寧に対応してくれて、少人数でも心のこもった見送りができたと言っていました。
ゼロ葬と違い遺骨は持ち帰れるので、その後はお墓に納骨したり、永代供養にする事も可能で、自宅で保管したり散骨したりする事も出来、様々な選択肢から選べます。
直葬のメリット
直葬の最大のメリットは、通常の葬儀よりも費用を抑えられる点です。
一般的な葬儀と比べると半額程度で済むことも多く、経済的な負担を軽減できます。
また、葬儀社のプロフェッショナルなサポートを受けられるため、遺族の精神的・肉体的負担が軽減されるというメリットもあります。
特に突然の死別で動揺している時など、専門家のサポートは非常に心強いものです。
さらに、形式ばった儀式を省略することで、故人や家族の意向に沿った、より自由度の高いお別れの時間を持つことができます。
「大勢の人を呼んで盛大に」ではなく、「身内だけでしっかりと」見送りたい場合に適しています。
直葬のデメリット
直葬のデメリットとしては、まず通夜や告別式を行わないため、故人と関わりのあった多くの人が最後のお別れをする機会が失われる点が挙げられます。
後から「あの人にも来てもらえばよかった」と後悔することもあるかもしれません。

また、葬儀社のサービスを利用するため、ゼロ葬と比べると費用が高くなります。とはいえ、通常の葬儀よりは安く済むので、中間的な位置づけと言えるでしょう。
それから、地域や親族関係によっては「簡素な葬儀」に対する理解が得られにくいこともあります。
特に年配の方や地方では、伝統的な葬儀を重んじる傾向があるため、ゼロ葬ほどではないにせよ、直葬という選択に対して反対意見が出る可能性も十分あり得ます。
ゼロ葬と直葬の費用比較
ゼロ葬と直葬の大きな違いの一つが費用です。具体的な金額を見ていきましょう。
ゼロ葬の費用相場
ゼロ葬の費用は、基本的に以下の項目で構成されます。
1. 火葬場使用料:地域によって異なりますが、一般的に2〜5万円程度
2. 火葬許可証発行手数料:数百円〜数千円
3. 棺:シンプルなものなら3〜5万円程度
4. 遺体搬送費:自分で手配する場合は1〜3万円程度
5・ドライアイス代:5000円~1万円程度
これらを合計すると、最低でも10万円前後、諸々含めても15〜20万円程度で済むことが多いです。私の知人は実際にゼロ葬を選択し、総額で18万円ほどだったと言っていました。
直葬の費用相場
直葬の場合は、葬儀社のパッケージプランを利用することが多く、一般的に以下のような内訳になります。
1. 基本プラン料金:20〜40万円程度
(棺、納棺、遺体搬送、火葬場手配、火葬許可証取得代行などを含む)
2. 火葬場使用料:2〜5万円程度
3. 僧侶へのお布施(必要な場合):5〜10万円程度
4. その他オプション:必要に応じて追加
これらを合計すると、直葬は30〜50万円程度が一般的な相場となります。葬儀社や地域、選ぶオプションによって変動しますが、通常の葬儀(100〜200万円)と比べるとかなり安く済みます。
実際に直葬を選んだ友人の父の場合は、葬儀社のシンプルなプランで42万円ほどでした。
葬儀社の方が全て手配してくれたので、非常にありがたかったと言っていました。
ゼロ葬と直葬はどんな人に向いている?
ゼロ葬と直葬、それぞれどのような方に向いているのでしょうか。
具体的なケースを見ていきましょう。
ゼロ葬が向いている人
ゼロ葬は、以下のような方に特に向いていると言えます。
1. とにかく費用を最小限に抑えたい方
2. 葬儀の形式にこだわらず、自分たちのやり方で見送りたい方
3. 故人が「葬儀は一切不要」と明確に遺言していた場合
4. 親族や知人が極めて少なく、参列者がほとんど見込めない場合
ゼロ葬は従来の形式にとらわれず、費用や負担を極力まで抑えたい場合は一番魅力的な選択肢です。
直葬が向いている人
一方、直葬は以下のような方に向いています。
1. 通常の葬儀よりは費用を抑えたいが、専門家のサポートも欲しい方
2. 大規模な儀式は避けたいが、きちんとした形で見送りたい方
3. 遺族の負担をなるべく軽減したい場合
4. 故人が「簡素な葬儀を」と希望していた場合
5. 親族や近しい友人だけで静かに見送りたい場合
直葬は、葬儀社のサポートを受けながらも比較的費用を抑えられるため、「バランスの取れた選択」と言えるでしょう。
特に突然の死別で遺族が動揺している場合など、専門家のサポートは非常に心強いものです。
ゼロ葬・直葬を選ぶ際の注意点
ゼロ葬や直葬を選ぶ際には、いくつか注意すべき点があります。
後悔しない選択をするために、以下のポイントをしっかり押さえておきましょう。
家族・親族との合意形成
まず最も重要なのが、家族や親族との合意形成です。
葬儀の形式は、故人の意向だけでなく、残された家族や親族の気持ちも大切です。
特に年配の方は伝統的な葬儀を望むことも多いため、事前にしっかり話し合っておくことが重要です。
私の知人の例では、本人は直葬を希望していたものの、親族から「きちんとした葬儀をすべき」という強い要望があり、結局は小規模ながら通常の葬儀を行うことになったケースもありました。
後から家族間で不和が生じることを避けるためにも、事前の話し合いは欠かせません。
弔問客への対応
ゼロ葬や直葬を選んだ場合でも、故人と関わりのあった方が弔問に訪れることがあります。
その際の対応をどうするかも、事前に考えておく必要があります。

例えば、後日「お別れの会」を開催する、オンラインで故人を偲ぶ会を設けるなど、代替となる機会を用意することも一つの方法です。また、弔問客への連絡方法(訃報の知らせ方)についても検討しておきましょう。
葬儀社の選び方
直葬を選ぶ場合は、葬儀社の選び方も重要です。
最近は直葬に対応する葬儀社も増えていますが、サービス内容や費用は会社によって大きく異なります。
複数の葬儀社から見積もりを取り、内容をしっかり比較することをおすすめします。
特に「基本プラン」に何が含まれているのか、追加費用が発生するケースはどのような場合かを明確に確認しておくことが大切です。
友人が直葬を依頼した葬儀社では、基本プランに含まれると思っていた霊柩車の費用が別途請求されて驚いたという話もあります。
事前にしっかり確認することで、そうしたトラブルを避けることができますよ。
事前準備の重要性
ゼロ葬を選ぶ場合は特に、事前準備が非常に重要です。
火葬場の予約方法、必要な書類、遺体搬送の手配方法など、あらかじめ調べておくことで、いざという時の混乱を減らすことができます。
また、直葬の場合でも、希望する葬儀社のリストアップや、おおよその予算の検討など、できる限りの準備をしておくと安心です。
「終活」という言葉もありますが、自分自身の葬儀についても家族と話し合っておくことで、残された家族の負担を大きく減らすことができます。
これは本当に大切なことだと思います。
ゼロ葬・直葬後のフォロー
ゼロ葬や直葬を選んだ場合でも、その後のフォローは重要です。
特に以下の点について考えておきましょう。
お別れの会の開催
ゼロ葬や直葬では、多くの人が参列する機会がないため、後日「お別れの会」を開催するケースも増えています。
形式ばらないより自由な形で故人を偲ぶ会を設けることで、多くの方に故人との最後のお別れの機会を提供することができます。
私の友人は父親の直葬の後、1ヶ月ほど経ってから自宅で小さなお別れの会を開きました。
故人の好きだった音楽をかけながら、思い出を語り合う時間を持ったそうです。
参加者からは「従来の葬儀よりも故人らしさを感じられた」という声も多かったとか。形式にとらわれない、その人らしいお別れの形もあるんだなと感じました。
香典返しの対応
ゼロ葬や直葬でも、香典をいただくことがあります。その場合の香典返しをどうするかも検討しておく必要があります。
一般的には、直葬の場合でも通常の葬儀と同様に香典返しを行うことが多いですが、「香典辞退」として事前に伝えておくという選択肢もあります。
地域や家族の考え方によって対応は異なるので、家族で話し合って決めるとよいでしょう。
法要について
ゼロ葬や直葬を選んだ場合でも、その後の法要(四十九日法要など)をどうするかは別途検討する必要があります。
宗教的な考えや家族の意向によって、通常通り法要を行うケースも多いです。
法要を行う場合は、菩提寺がある場合はそちらに相談するか、葬儀社に紹介してもらうなどの方法があります。
また、自宅で簡単に行うという選択肢もあります。

四十九日法要はきちんと行うほうが良いと思います。家族にとっても故人との別れを受け入れる大切な儀式だからです。
最近の葬儀事情と今後の傾向
最近の葬儀事情は大きく変化しています。
ゼロ葬や直葬のような簡素化された葬儀形式が増えている背景には、どのような社会的変化があるのでしょうか。
葬儀の簡素化傾向
近年、葬儀の簡素化傾向が顕著になっています。
背景には、核家族化や地域コミュニティの希薄化、価値観の多様化などがあります。
また、高齢化社会の進行に伴い、葬儀を執り行う側も高齢化しており、大規模な葬儀の準備や対応が難しくなっているという現実もあります。
さらに、新型コロナウイルスの影響で、大人数が集まる葬儀を避ける傾向も強まりました。
この経験から、「必ずしも大規模な葬儀が必要ではない」という考え方が広まったとも言えるでしょう。
終活意識の高まり
また、「終活」という言葉が広まり、自分の最期や葬儀について考える人が増えていることも、ゼロ葬や直葬が選ばれる背景の一つです。
自分らしい最期を迎えたいという意識の高まりから、従来の形式にとらわれない葬儀スタイルを選ぶ人が増えています。
私の母も最近、「私が死んだら大げさな葬式はしないでね」と言うようになりました。
自分の葬儀について考え、家族に伝えておくことは、残された家族の負担を減らすことにもつながります。
こうした終活意識の高まりは、今後も続くでしょう。
多様な選択肢の登場
葬儀業界も、こうした社会の変化に対応して多様なサービスを提供するようになっています。
ゼロ葬や直葬だけでなく、「一日葬」「家族葬」「生前葬」など、様々な形式の葬儀が選択できるようになりました。
また、オンライン参列システムの導入や、環境に配慮した「エコ葬」など、新しい技術や価値観を取り入れたサービスも登場しています。
こうした多様な選択肢の中から、故人や家族の希望に合った葬儀スタイルを選べるようになってきているのは、とても良い変化だと思います。
まとめ:あなたに合った選択をするために
ゼロ葬と直葬の違いについて詳しく見てきましたが、どちらが「正解」というわけではありません。
大切なのは、故人の意向と遺族の気持ち、そして現実的な条件を総合的に考慮して、最適な選択をすることです。
ゼロ葬は、費用や負担を最小限に抑えたい場合やに適しています。
一方、直葬は、専門家のサポートを受けながらも比較的費用を抑えたい場合に向いています。
どちらを選ぶにしても、事前の準備や家族との話し合いが重要です。
また、葬儀後のフォローについても考えておくことで、後悔のない見送りができるでしょう。
最後に、葬儀は「故人のため」だけでなく「残された人のため」でもあることを忘れないでください。
悲しみを分かち合い、故人との別れを受け入れるための大切な儀式です。
形式よりも、その本質的な意味を大切にした選択ができることを願っています。
今思うのは、形式よりも、故人への思いや家族の気持ちが一番大切だということ。
あなたやご家族にとって最適な選択ができることを心から願っています。